この願いは間違っていましたか?

《瑞area》

「う・・っ・・う」

そのまま、柚のお墓の前で立ち尽くした。
涙が雪と共に溶けて流れていく。

木崎くんっ、木崎くん・・木崎くんっ

その時、
スッ
え・・?

後ろから、私の体を包み込むようにして、抱きしめられた。

「それ以上、泣くな。」
この声・・

「柚が眠った時に、もう十分涙を流したろ、もう、 泣くな。」
「――う・・っ」

それは、その声は、千代兄ィで。
私に降り積もった雪ごと、抱きしめ、暖めてくれた。

「千代兄ィっ、だって私っ、ヒドイ事しちゃった!!
あんな顔させてしまったっ!!―――――う・・
最低だよ私っ!!」 
どうしようもなくて、この感情の行き場がなくてっ、私は、叫んでしまってた。

「・・瑞。」
「木崎くんっ・・うっう・・」
「・・・」
「きさ・・くぅ、ぅ・・」

「頭だけで考えた事ってね、
たいていその通りにはならないもんだよ。テストならともかく、人、相手だとね。」
フッと笑って、千代兄ぃは、私から離れた。

「千代兄・・ぃ」 振り向くと、手を伸ばして、私の頬の涙か雪かわからない水滴を拭ってくれる。

「惜しいな。」

そう呟いたと思うと、自分のしていたマフラーを私の首にかけ、片手をヒラッと挙げてどこかへ行ってしまった。

千・・代・兄ぃ・・



《奈津area》

あいかわらず、ファミレスの前の沿道でボーッと突っ立ってると、
パァ~ン。
と軽くクラクションを鳴らされた。
見ると、1台の
・・・・黒い車。
その車は俺の横で停まると、ウィンドウを下げて、
「よぉ色男♪」 
と、余裕の笑みを浮かばせた。
「くっ!」この顔はっ、まぎれもない!あんのっ変態従兄弟ヤロー!!
「俺ァ今、虫の居所が悪いさかい、あんま、近寄らん方がええで。」 こんな時に一番合いとうないヤツに出会って、最高にブルーや!

「ガキ」
「あん?!」 いきなりのセリフに思わず睨みあげる。

「てめぇの感情だけ先走ってんじゃねぇよ。」
「なっ!」一瞬、キレそうになったが、怒りさえも持続できない自分に気付き、そのまま前を向いて押し黙った。
かなりのダメージを受けてる自分に、今更ながら驚く。
すると、
「・・・あいつら、
本当に、仲のいい姉妹だったんだ。」
そう、大嫌いな従兄弟ヤローは話しを始めた。


「柚が病気になってから、血が足りないと言えば瑞は、自分の血を全部とってくれと医師に詰め寄ったり。移植の話をすれば、自分のを使ってくれと。・・ま、移植するより、先に進行が早すぎて、結局、間に合わなかったんだけどね。」

「・・・」 

「入院してるだけで、コレだからさ。柚のほうが、反対に心配してね。はは・・
・・俺も、親たちも、マジで心配したよ。 柚が、居なくなった時の瑞の事を考えると。」

「―――――、」

「そんな暗い気持ちで、病室を訪ねたとき、部屋の中から2人の笑い声がきこえてね、
なんだろうと、覗いてみると、1枚の写真を見て、楽しそうに笑ってるんだ。」

・・・写真

「キミの写真。」

――――――――――――!!!!!

「柚が入院してから、初めて、瑞の笑った顔をみた。」
「!!」
「お前はいいよ。」

? 

「―――っ、近くで見てねぇからっ!!」

!!!
俺の大嫌いな従兄弟ヤローの顔が見る見る歪んでいく。
こ、こいつでも、
・・・こんな顔するんや、

な・・んか、俺より

「・・なんで、んなに瑞の事、わかっとって、
あんたが彼氏になればいいんとちゃうん?」
つい僻みからか、そんなコトを口走ってしまった。
その、瞬間、
「殺すぞ、てめぇ。」
そう低く響く声は、いつものおちゃらけた雰囲気は全く無くて。

ちっ、こっちの方が、本性かよ。

「俺は、そうするつもりでいたんだよ、柚が亡くなった時だって、ずっと側にいるつもりでいたんだ。」
奴は俺から、目線を外し、話しを続ける。
「でも、仕事の関係で、海外に行くことが多かった俺は、結局、瑞の側には居てやれなかった。」

?そうかな
「俺やったら、仕事にいけへんな。」
ボソッとつぶやいてしもた。

やって、ホンマにそう思たから。

その俺の呟きに、従兄弟ヤローは、
「は・・」 と笑うた。
?なんや、俺、おかしなコト言うたか?

「だから、ガキって言われるんだよ、君は。ははっ」
そう言って、また笑い出した。
「なんっ?!!///」
そう言いかけた時、
「でも、そうすれば良かった。」
「え?」
「完璧、理想論だけどね。
あの時の、瑞にはそうしなきゃダメだったんだな。」

従兄弟ヤローは寂しそうに目を伏せた。
そして、
少しの沈黙の後、
「瑞、まだ、あそこに立ってたなぁ、雪かなり降ってるし、大丈夫かなぁ・・」
て、そないなコトを言い始めよった!!
「―――――、っ!!!」
そ、そやな、雪、ひどくなってきたし、
凍えとんやないやろな瑞っ!
ハッ!
あかん!俺、ホンマ、アホや
さっきまで何つまらんことで悩んどったんやっ!

瑞が俺んこと、好きやないなんて、最初っから感じとったやんけ!!
点 点 点 
あ!あかん自分で言うてて、落ち込んでもうた。
や、なくて!
瑞ん方が絶対に辛いやろ!!
なんで、今頃気付くねん!ホンマあほやわ俺~~~~~っ!!
瑞が俺ん事、好きやなくてええ、俺はあいつが好きやねんから。

俺は、すぐに今来た道を戻ろうと、体の向きを変えると、

「もう泣かさないでね。」
そう言葉を残して、従兄弟ヤローは車は発進し行ってしまった。

もしかして、
「あいつ、俺を瑞んとこへ行かせたかった?」
ふと、そんな事を思ったが、まずは、瑞んとこへ行くんが先や。
路面に積もった雪を踏みしめ、あの場所へと走りだした。