この願いは間違っていましたか?


「ここ・・は」


「・・・・。」



着いた先は市営の墓地で・・

先を歩く瑞の後をゆっくりとついていった。
少数の階段を上り、賽の目のような道を器用に曲がり、瑞は止まることなく奥へと進む。
その間、瑞は一言もしゃべらん。


お、やっと足止めたで。

瑞が足を止めた場所は、1つの白いお墓の前で。
そこには色とりどりの花が供えてあり、雪にも埋もれず、まだ鮮やかに存在しとった。

佐々木。て、墓石に彫ってある。
あ、じゃ、ここは瑞んちの墓か。

え?ここが、前から俺に一緒に来て欲しいて言うとった場所か??


「いきなり、ごめんね。こんなトコへ連れてきちゃって。
・・・・・ここにね。 ・・私の妹が眠ってるの。」


え?


「もうすぐ高校卒業って時に、いきなり、倒れて、
なん回も手術したんだけど。・・結局、
発見が遅かったらしくて・・ね。」

「・・・・」

「元気になって、私と同じ大学に通うんだって笑ってた・・」

「・・瑞」



「・・どうして、私と同じ大学に通いたいと思ったか、木崎くんにはわかんないよね。」
瑞は、そう言って寂しそうに笑った。

「?それは・・瑞がおるからとちゃ・・」
そう言いかけたとき、

「あなたが、いたからなんだよ」

「え?!」
な、に?  は??
なに言うた?今・・  

「俺・・が?」

コクンと静かに頷く瑞。

「なんで?」
え?わからへん。

「妹がまだ、病気に気付いてない頃、私の大学へ遊びにきたコトがあったの。」

「・・・・」

「大学って広いじゃない?私でさえ、まだ、迷うことあるのに(笑)、初めて来た柚はもうわけわかんなくなったらしくて・・」

・・柚、言うんや。・・妹

「その時に、あなたに声をかけられた。」

「え?」

「困ってる柚の手をひいて、私との待ち合わせ場所まで、連れて行ってくれたって」

え?・・っと、
し、知らん。てか、覚えとらんでっ俺っ!
えっ??!!そないなこと、あったっけ??
ん~~~~~~~
1人悩んでると・・

「ふふ。覚えてないでしょ? ・・木崎くんは誰にでも・・優しいから
・・でもね。柚は、その時から、あなたに恋しちゃってたの。」

「・・え」


「私も最初、全然気付かなかった。でも、入院しているとき、柚の枕元から、木崎くんの写ってる写真を見つけてね。その時に初めて、あなたの事を打ち明けてくれた。」

「!!」

「聞いた時は驚いちゃった。まさか、大学1人気のあるあなたの事が好きだなんて。ふふ。」

「~~」


「もう一度、会いたかったって。声を聞きたかった。って」

「・・・」

「・・告白したかったなぁ・・って。」


え?!


「片思いでもいいから、自分の気持ちぐらい伝えたかったって・・」






「・・だから、柚のかわりに・・私」


ま、さか・・



「柚のキモチを伝えることができるなら、そう思って。

・・・私、あなたに・・告白したの」


―――――!!

 
「アレは、柚のキモチ。・・・すべて柚が望んでいたこと。
それを、せめて代わりにしてあげたかっただけなの」



・・は。



「だから・・」


「やから。付き合わへん・・か。」

「!」

「好きやって気持ち、伝えるだけで良かったもんな」
「――!!」

「デートしたんも、柚ちゃんの望みやったんやろ?」
「・・・・・・」

「俺とデートしたかったんは、瑞やなくて、柚ちゃんやったんやな、は。」


「き、木崎く・・」




「・・ようわかった」


「あ、でも、あのっ!」



「悪い、瑞。俺、人間出来てーへんから、今日は帰らせてもらうわ」

「えっ、あ、待っ・・」

瑞の引き止める声も無視して、俺は、そこから、立ち去った。



柚ちゃんには悪ぃけど、  っ・・く!
かんにんな。 俺んコト、そんなん思うてくれとったのに

これ以上、瑞の顔、見られへん


今は、勘弁してくれ・・っ。