この願いは間違っていましたか?

《奈津area》

はぁ・・はぁ・・

なんやろ、体がめっちゃ、重い
だりぃ・・


ぴちゃん
「ん?」 なんや?
うっすら目を開けると、ベッドの脇に誰かの気配を感じた。

茶色い巻き髪・・。
え?  「り、涼香・・か?」
手に濡れたタオルを持って、俺の額へとあててくれている。

「涼香が・・なんで?」 
「・・熱あるみたいだよ。起きなくていいから、寝てて。」 
そう言い、俺の濡れた服を脱がし始めた。

「・・・・」
「・・汗、拭かないとね。」
涼香は自分の服も脱ぎ捨てると、ベッドへと入ってきた。
――――――――っ///
涼香の舌が俺の体を嘗め回す・・っ
熱で出た汗をすべて吸い取るように絡みつく。

うあ・・っ

「私、あの人の代わりでいいから」
「えっ」
「奈津、抱いて」

!!
涼香の口から、そんなセリフが飛び出すやなんて
あのプライドの高い女が・・

瑞の代わりでええやなんてっ!


はぁ。
「あほか、変な気ぃ使こうなや。」
ポン、軽く涼香の頭を小突く。
「ぅ・・」
「涼香はええ女やな、ホンマに。」
「な、つ・・」 

その夜、久しぶりに、いや。
瑞と会うてから初めて、涼香のことを抱いた。





一体なにやっとんや、俺。

左の腕の中で眠る涼香を見て、心が痛む。
瑞とあいつの、あんな場面見せられて、つい、カッとなって。
瑞に・・スゲ、ひでぇ事、言ってもうた

固まっとったな、瑞。
俺んコト、キライになってもーたかも。
チクッ
う、くっそ。なんや、胸が痛おて痛おて・・
泣けてくるわ。



「奈津?」
声は殺してたが、体は小刻みに震えとった。
ソレに気付いた涼香が、体を起し、顔を覗き込んできよる。
「泣いて・・るの?」
少し、戸惑った声でそう聞いてきた。

「―――く」何も答えんと、背を向ける俺に、涼香は、
少し黙り込んだ後、
「なんか、らしくないね。」と。
そして、
「私、どうしても奈津の事あきらめきれなかったから、毎日、この部屋の前まで来てたんだよ~」
「?!」
「奈津を絶対に私のものにするんだ~、てカンジでね。」
「・・・」
「で、今日もココを通ったとき、ずぶ濡れの奈津がヨタヨタ部屋へ入っていくの目撃しちゃって。」
「・・・・」
「どうしたんだろ?大丈夫かな?とは思ったんだけど、少しの間、迷っててね。だって、あの人が来るかも知れないし?」
「・・・」
「でも、
待っても待っても、あの人は来ないから、も~コレは行くしかないかなぁって。
そう思って部屋へ入ったら、驚いちゃった。」
「・・・・」
「ずぶ濡れのまま寝ちゃってるし、息もあがってて、」
「・・・」
「私の大事な奈津がこんなに苦しんで、
ソレなのに、なんで、あの人は来ないのって、ムカついた!」
「!」
「だから、私、」
「・・あのセリフか」

「・・うん。  あの人の代わりなんてイヤだけど、そう言わないと奈津抱いてくれないと思ったし。でも心の中では、奈津は絶対にやるもんか~て思ってたっ。」
「涼・・香」

「なのに・・さ、奈津ってば
・・・泣いてるんだもん。」
「!//」
「ムカつく、ホントにムカつくっ!
――――ぅ・・
あんな人、大嫌い!それを好きな奈津も大大大嫌いっ!!
、っうぅっ・・」
涼香は、そのまま泣きだしてしまった。

俺は体の向きをかえると、涼香を軽く抱きしめ
「かんにん涼香。ホンマ、かんにんな。」
顔が歪む
思いっきり抱きしめたら俺ん方がヤバイ・・流されてまう。

「こーんないい女、もう二度と現れないんだからね!わかってるの!奈津、っ」
途切れ途切れな声で言う、その言葉に、憎しみは感じなかった。
「おぅ、マジでエエ女過ぎて、俺にはもったいないわ。」 
「あ、当たり前でしょ、奈津にはもったいないわよっ・・っう
もう頼まれたって付き合ってやらないんだからねっ!」
泣きながら、最後の強がりを言ってのける涼香。

「はは。おっかねー」
「ばか!」
「涼香、おーきに」 ニッ そう笑顔を見せたら、
「死ね!///」  
て、真っ赤な顔して言われた。


それから、涼香は帰る言うたけど、さすがに女1人をこんな夜遅そぉ、外へ出すわけにもいかんから、とりあえず部屋へ泊めた。
朝になって隣を見ると、もうそこには涼香の姿は無く、
「気ィ使こて、起こさんように出ていったんやな、あいつ。ホンマ、」
まだ、ダルさの残る体を、起こすと、買い溜めしてあった缶コーヒーに手を伸ばした。

「薬飲んで、コーヒーはあかんかったかな?」
そんな事をボソッと呟きながら、コーヒーを飲み干し
また、ベッドへと体を埋めた。

そして、そのまま眠ってしまった。