タチバナ君が、この部屋に引っ越して来てから、数年が経つ。


わたしは、久し振りに思い出していた。


朝を迎える瞬間。

住人が居なくなっているかもしれない不安。


室内を見回し、タチバナ君が存在している事を認識する。


「おはよう。ブーゲンビリアちゃん」


その瞬間、やっと安堵出来る。


「おはよう。タチバナ君……」


今日も、良い朝を迎える事が出来た。