Fairytale

運命
次の日、私は約束通り彼に会いに行った。
「驚いた。良く来たな。」と開口一番に彼はそう言った。
「約束したじゃん。」と、私は少し拗ねた口調で言った。
「わ、悪かったよ。...その、来てくれて嬉しい。」そう言われた途端私は妙な感覚に襲われた。くすぐったいような、そんな感じだ。そして体の全身が熱を持った様に熱い。心做しか顔が少し火照ってるような気がする。
この感覚、多分私は彼に恋をしている。
「どうした?セレン」と彼が私の顔を覗き込んできた。私は咄嗟に顔を上げ、
「だ、だだ大丈夫!!」と叫んだ。
「そ、そうか...。」と彼はあくまで私から見ての感想だが、残念そうに呟いた。
ちょっと言い方がまずかったかな?と思い、
「ごめん、いきなり叫んじゃって...。」と彼に謝った。「気にするな。」と彼は言った。しばらく沈黙が続いた。最初に口を開いたのは彼だ。「お前、俺が怖くないのか?」「怖くないよ。むしろ仲良くしたい。」私は、遠回しだが彼に好意があることを伝えた。それを聞いた彼は少し驚いた顔をした。「そうか...。そんなことを言ってくれるのはお前だけだ。」と彼は言った。「ねえ、また来ても良い?」私は、彼に聞いた。「お前が良ければ、いつでも来て良いぞ。」と彼は少し笑って言った。彼に出会って初めて笑顔を見た気がする。その笑顔に私はますます彼のことが好きになってしまった。この出会いはきっと運命だ。私たちは、その日を境に何度もこうして火山の中にある彼の秘密基地という名の部屋に来ては色々な話をしたり一緒にお菓子を食べたりした。そんなある日、いつも通り彼の部屋でお互いの昔のことについて話していた時のことだ。私は彼の重大な秘密を知ることになった。