同族嫌悪

 同族嫌悪という言葉を聞いた事があるだろうか。自分と同じものを見ると嫌うという意味だ。
 
 私は、いじめをして同級生を一人不登校にしたことがある。
 いじめをしているときは、気持ちよかった。自分と同じ人間。同じ人間が、朽ちていく。

 なんて気持ちがいいんだろう。いじめられてる子は、人じゃない。
ここでは法律なんて通用しない。だって望んで私にいじめられてるんだからね。私は可愛い。可愛いんだよ?その子は可愛くない。分かる?

自分より劣っているんだよ。弱肉強食ってやつ。心を殺すことって、罪じゃないのに簡単で、そして何度も殺せる。

そんな快楽の遊びがあったら、誰でも手を伸ばしちゃうものでしょ。
 
 でも、そこで事件が起こってしまった。
 私のいじめてた子が自殺したんだ。
 
 私は人間じゃないかもしれない。
 
 なんの感情も湧かなかった。
 
 ただ、死んだな。って思った。
 
 死。それはどういう意味?
 
 私には分かんない。だって死んだ事ないんだもの。
 
 親は引っ越しをした。私ももちろん引っ越しした。
 
 新しい学校。
 私はチヤホヤされてた。可愛いから。でも周りを見てもブスばっか。男は体目当て、女は立場目当て。ホントくだらない。
 
 私はここでも王女なのか。
 
 
 ある日、ブスがブスをいじめてた。
 それを見て、私は不快感に襲われた。
 
 気持ち悪い。
 
 お前らみたいなやつがいじめていいと思ってんの?何ブスって言ってんの?
 
 私はそれを動画にし、クラスのLINEに流した。
 
 もちろん学校問題になった。
 
 いじめられてた子は、私に感謝してきた。
 
 私は、
 
 
 私は。
 
 
 私は?
 
 
 
 
 どんな顔をしただろう。
 
 
 
 その夜、家で泣いた。
 
 なぜ?
 
 なぜ?
 
 分かった。
 
 本当の感謝をもらったからだ。
 
 思えばここ数年
 
 本当の感謝をもらったことがない。
 
 みんな言葉の葉を持って近づいてくる。
 
 その後ろに大きなナイフを構えてる。
 
 いつでも私を殺せるように。
 
 だから私は、守りを固めてた。
 
 跳ね返す。
 
 ただ、今の私は
 
 自分を受け入れてくれたという
 
 自身でも理解しがたい感情だった。

 私はなんで
 
 なんでなんで
 
 なんでなんでなんで
 
 
 なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
 
 
 
 
 
 
 私は人を殺したのだろう。
 
 
 
 
「ごめんなさぁい……‼︎」
 
 
 私は静かに叫ぶ。