とある企業の恋愛事情 -ある社長秘書とコンビニ店員の場合-

 それから二人は俊介の両親に挨拶に行き、結婚の承諾を得た。

 綾芽は了承を得られるかかなり心配していたが、俊介の両親はそれほど気にしていなかった。だが、随分若い花嫁を連れて来たことと、こんな年上のオジサンでいいのかと散々俊介をからかった。そのおかげで綾芽は安心していたようだが、俊介は居心地が悪かった。

 式場にも何度か足を運び、式の日取りも決定した。細かいことはこれからだが、式はそれほど大規模なものではなく、聖の時のようにごく少人数で行うことにした。その方が費用が抑えられるのと、綾芽の招待客が少ないからだ。

 俊介の仕事は相変わらずバタバタしていたが、いつものことだ。

 結婚式の打ち合わせの日は聖が休みを調整してくれているし、本堂もサポートしてくれる。新しい秘書の真琴もいるから安心して休めた。

「それにしても結婚式が三ヶ月後って早いんじゃない?」

 俊介は聖と本堂、真琴の三人に結婚式の招待状を渡した。招待状を手に取って、聖はやや驚いたふうに言った。

 挙式を予定しているのは秋だ。聖は半年後ぐらいに挙式する予定で段取りを組んでいたからそれよりも早いことになる。

 だが、待っていたところで意味はない。招待客は少ないし、俊介達も早く式を挙げたいと思っていた。

「ま、こいつのことだからさっさとやることやって一緒に住みたいんだろ」

「あの、僕まで招待してもらっていいんですか?」

「ああ。勿論。真琴は綾芽さんに会ったことなかったもんな」

「あの噂の人ですよね?」

 真琴がそう尋ねると、聖と本堂はおかしそうに吹き出した。

「そうそう。噂の、ね」

「その話は蒸し返すな」

「他の部署の人に青葉さんの奥さん見て来てくれって頼まれてるんですけど……」

「頼むから、これ以上噂になるようなことは言うな」

「真琴君、見たらわかるわよ。俊介はね、奥さんにゾッコンなの」

 聖は唇を歪めながら笑いを堪えた。なんだか真琴が入ったせいで「俊介をからかおう包囲網」がより酷くなった気がする。