「ふーん、ペットは飼ってんの?」
「ううん。小さい頃は犬を飼いたいって言ったんだけど、お父さんがアレルギーだから飼えないんだよね。恋木くんは?」
「俺んち? 犬いるよ」
恋木くんはそう言って、スマホの画面に写っている、犬の写真を見せてくれた。
まんまるい体型をしていて、体の色は白っぽい。顔は、黒くてしわがあって、つぶらな瞳をしている、愛らしい子だった。
この見た目でいうと、確か種類が……。
「パグ……かな?」
「そーそー、パグ。母親が、こういうブサカワのが好きでさー。メスで、ミカンっていう名前なの。パグは、握り拳って意味のあるラテン語の“パグナス”って言葉から来てるとか言われてるけど。親は握り拳といえば、みかんを思いついたんだって」
「あはははっ」
わたしは、思わず声を上げて笑った。
恋木くんの親御さんって、とっても面白い人なんだな。
顔を上げると、恋木くんは優しく微笑んでくれていた。



