「で、さっきから蒼はどんなことを妄想していたの?」
「妄想? 何もしてないけど」
「だらしない顔で歩いてたじゃん。あの女の子たちがかわいかった? 付き合いたいなあって思った?」
「いやいやいやいやそんなわけない!」

 たしかにキャーキャー言われたのはめちゃくちゃ嬉しかった。(憧れの少女漫画のヒーローみたいで!)けど雅ちゃんの方が絶対他の女の子よりもかわいいし、僕は雅ちゃんしか興味ない。

 はっ。もしかしなくても、雅ちゃんはやきもちを焼いている! ああかわいい! これぞ携帯小説鉄板のやきもち! 絶対そう!

「そ? ならいいや」
「え、意外とあっさり? もっと粘るのかなって」
「ねばってほしかった?」
「うん。ほしかった」
「蒼くんを取られたくないのって言えばよかった?」