久々に雅がキレているのを見たけども。雅はキレると怖い。だけど、雅がキレている時は悲しい時。いつも、そうだった。

 みんなは時間が止まったかのように二人をじっと見つめている。そんな中二人は言い合いを続ける。

「蒼は、私のためを思って言ってるんでしょ?」
「そうじゃない。僕は雅ちゃんが好きだから」
「それは勘違いじゃない? 私のことを助けたいから、知らない人と結婚するよりは自分がって考えたからでしょ?」
「違うって!」
「私は、私の力で未来を切り開くの! 王子様に助けられるお姫さまは嫌。なにか、文句ある?」

 そう言って蒼を睨んだ雅は迫力満点だった。蒼は雅に目を合わせられず、目を彷徨わせる。そしてゆっくりと口を開いた。