「ちがッ……」


口を開けては閉じ、何かを言おうとする彼を
私はただじっと見つめその先の言葉を待っていた。


「大学へ進学した妃里さんの様子を
景都に会う度、聞いてたんだ」
『えっと…なんでか、聞いて良い?』
「妃里さんの事を…知りたかったから。
後、恋人がいるのかどうかも…」


赤く染め染めた頬、
しどろもどろになりながら必死に弁明する
秋生くんはとても可愛かった。

それから車が停車するまで、
私たちの間に会話はなかった。

実際、何を話して良いのかわからなかった。

秋生くんが私の大学生活の様子を景都に聞いていたいた理由も恋人がいるかどうか気にする理由も私のの思い違いかもしれない。

でも、もしかしたら…なんて気持ちもあの瞬間、
私の中には芽生えていた。