「庭先にある証明」
君が喜んでくれた昨晩の桜
立ち並ぶ君と同じ年輪が絆

少しカッコつけた年老いた気持ちになった
娘の入学式

気持ちだけは若くても家族の中で
一番人気は君だよ

なんちゃってのおままごとが
こんなにも一途な実生活を映し出すとは

あの日君のお母さんと出会った日にも
似たような気持ちになったけれど

僕の代わりに未来のこの桜達を
見て欲しい人が現れるなんて

だからかな最近やっと本質って言葉を
その言葉を探しに旅に出ようと思ったんだ

見つけた桜が枯れてても
たどり着けなくたって君が
居るだけで救われる心を見つけたよ

「茶封筒の虚しさ」

今年ももう少しで前線を押し上げてくる
春風に乗って君の気持ちも分かる頃

要するに遠距離恋愛ってやつを思い出すんだ
会いたくても会えない厳しさを一番好きな君へ

こんな気持ちも将来に繋がるのかな
夜中の着信を無視した今日に
やけに上司の話を聞きたがる幼い自分に
出会ったんだ

押し花を作っても見せる人がいない
一人きりのバレンタインデー

写真で送られる茶封筒の虚しさ
流れた時は次の再会で埋めるしかなかった

仕事仲間が彼女ってそんなもんだよ
なんて言うから僕もたまにする
君へのいたずら電話の内容を仲間と探してる

「年老いた気持ち」

押し花を一緒に作ろうか
その時よりも増えた押し花のシワ

弾けるような恋愛もそろそろ店じまいの
人手不足のお花見帰りの出店の光

よう娘
あの頃みたいなお手本には成らないけど
古臭い頑固さだけは持ち合わせているぞ

シワシワの畳に名前も知らないキーホールダー
友達とお揃いだから喜んでいる影に
淡い思い出が蘇る

たまには失敗をしてもいいぞの
合図優しい人に出る目の横のシワを見て
二人もたまにのデートを楽しもうか

車椅子を押して上げる景色の綺麗さに
思い出では語れない生々しい桜吹雪

来年は君の卒業式だよ
桜前線に刺激を与えてくれ
二人の口籠った感覚こそ運命
飛び散ったスパークに若返るシワ伸ばしの
懐かしい言葉を添えた
あの頃の桜の押し花