アーケードを抜け


硝子張りの市場に入る




菓子

雑貨

洋服

宝飾

そんな店の間に、
遊戯場やレストラン




夢の国の住人たちは
そこかしこにいた。




一様に、
私たちに笑いかける


私たち二人だけは
間違わずに世界を抜け

この夢の国に来た
かのような錯覚を
起こす





この世界や

この時間や

この生き方が

間違いではないのだ、



と言うような
安堵感





上を見上げると
硝子の間から

太陽が覗いていた。





私たちは
左側の路地に入る



店から
ワッフルの甘い匂いが
鼻をつく




「食べたい?」

彼の優しい声に
一瞬、戸惑う





彼はそれを遠慮だと
思うのか…


また笑う




「あとで来ようか」




微笑む二人は、
次の世界へ
足を踏み入れた



彼女たちの前には、
大海を跋扈する、
海賊たちがいた