「楽しかったね」
私が言うと、
彼も笑った。
「夢の国って本当にあるんだな」
「だね。でもこの道を帰ってる時は、現実に戻るんだ〜って思っちゃうよ」
彼は笑いながら、
私の頭をちょっと撫でる
その仕草に
ドキッとした。
「現実もそんなに悪くないだろ?」
「夢の世界に比べると残念かな」
私が言うと、
彼はちょっとだけ困った顔をした。
「この世界は、現実が辛い事だって事を言ってるわけじゃないと思うよ」
「え?」
「この夢の世界にいても現実は現実として確かに存在する」
彼は続けた。
「だからこそ、この現実を大切にしようって思い出させてくれる」
力強い彼の言辞に、
今日の夢を振り返る。
「これから、この現実に戻るけど、ずっと一緒にいようよ」
始めて重なる
二つの手。
暖かい。
心の中のお城が
また、素敵になる。
「また、来ような」
私はゆっくり
頷いた。