たった一人の人間は

墓の番をしている


傍らには
震える老犬



この屋敷には
他に生きているものは
いない…







庭には、
かつての住人の墓標

肖像は

まるで
D.グレイの如く


刻々と
死への変化を遂げる




暗く
どこまで続くのか

無限の廊下





だが
怖いという感情はない


この屋敷にいる
「彼等」も

また同様

歌っていた…






主は言う

ここの仲間に
ならないか、と



それに漏れる微苦笑




大きな屋敷に

広い庭

そして、

ちょっと透けて見える

不思議な家族たち





「あの曲が
頭から離れないよ」


言うと
彼も笑った。





たった一人の人間は

墓の番をしている



彼の姿を
見つける事が
出来ただろうか…?