2万発の花火が終わってしまうと、なんだか、いっきに暗くなる。光のあとは、闇が訪れる。
ことしも、夏休みがおわった。
どうにもさみしくなってしまって、センチメンタルを隠そうとリンゴ飴をかじってみる。かたい。
他の人たちがぞろぞろと退場していくなか、名残惜しむように、わたしたちふたりだけはその場から動かずにいた。
「みゃーこ」
わたしの呼び名が、花火のあとの、ほんのり煙たく感じる空気に馴染む。
「さいごに、ひとつだけ、俺から命令してもよい?」
「それは、内容にもよりますね」
とか、答えてみるけど、わかっている。
たぶん、わたしは喜んで従うだろう。
これは、占いでも予報でもなんでもなくて、ただの勘だけど、きっと当たるんだ。
「みゃーこ」
「なんでしょう」
「夏が終わっても、ずっと、俺のことを好きでいて」
花火が終わっているはずなのに、あれ、おかしいな。
この世界がまぶしすぎて、もう、困る。
「おれね、つきあう女の子は、じぶんから好きになった子って決めてるんだ」
「盗み聞きしたので、しってます」
「みゃーこが付き合ってくれないと、俺、永遠にだれとも付き合えないかも」
しらないよ、そんなの。
なんて、強気なことを言えるはずがない。
わたしは、どきどきと高鳴る心臓が口から飛び出しそうになるのを、なんとか喉のあたりでとどめておくのに必死だった。



