三好くんの仰せのままに




そんなことをしていたら、花火が打ち上がる時間が迫ってきた。


わたしたちは、人混みのなか立って花火を見ることにした。


すっごく混んでいたけれど、とくに、はぐれたりすることもなく。

ふたり並んで、花火を待った。


すっかり暗くなった夜空を見上げて、わたしは場を埋めるように話を振った。



「きょうの天気予報、雨降るって言ってたんですよね」

「じゃあ晴れるね」



あと数分で、花火が打ち上がる予定時刻。

夏休みがいよいよ終わる、カウントダウンだ。



「たしかに夏の天気予報って当たらないけど、べつに、わざと逆をいってるわけではないのでは?」

「でも、ほら、ぜんぜん雲も見当たらないし」

「三好くんは、雨が降らないと思うんですか?」

「おもいます」

「じゃあ、降らないですね。いつだってわたしは、三好くんを信じます」



わたあめの大袋と食べかけのリンゴ飴を両手に持っていたので、拝むことはできなかった。なむなむ、こころの中でつぶやいてみる。


当たり前みたいに隣にいる三好くんは、おそろしいほど和服も似合うし、いつもとちがって、おでこが見えるようにセットした髪型もすごくかっこいい。


こんなの、拝まずにいられるものか。



「それもどうよ、俺って嘘つきだし」

「腕の怪我は治ったばかりでしょうから、むりしないでくださいね」

「うーわ、すごい嫌味ぶつけてくるじゃん」



まるで、わたしたちの笑い声を合図にしてくれたみたいなタイミングで。



ひゅるり、一発目の大きな花が夜空に咲いた。