三好くんの仰せのままに



花火大会という大イベントだけど、特筆すべき事件はとくに起きない。



たまに、学校の友だちに会って、「え?!三好と園田?!」とわたしたちの組み合わせに驚かれたりはしたけれど、三好くんがすごく器用にかわしていた。

そういうとき、やっぱりこのひとは王子様なんだなあと再認識する。




それから、お祭りの屋台では、三好くんがぜんぶご馳走してくれた。


申し訳ないなと思ったのも束の間。

そういえばこのひと、怪我したふりしてわたしに無賃労働させてたじゃん!ぜんぜん働いてはいないけど!というのを思い出して、遠慮なくイカ焼きとリンゴ飴を買ってもらった。


金魚掬いもやりたかったけど、金魚を飼うかどうか悩んでしまって、さらにはペットのいのちの重みについて悩み始めてしまって、けっきょくやめた。



そのかわり、じつは、わたしがこっそり好きな子どもアニメのキャラクターが描かれた綿あめを買ってもらった。

魔法少女なんて子どもっぽいって思われるのが不安だったけど、とくに言われなかったから一安心した。



それから、三好くんはかっこよすぎるせいか、いろんなひとに声をかけられてたいへんなので、お面を買って顔の半分を隠していた。


でも、そのお面を選ぶとき、さっきのアニメキャラクターをおすすめしたら、それははっきりと断られた。魔法少女になれるチャンスだったのに。


けっきょく、戦隊ヒーローものの悪役のお面を選んでいた。彼なら真ん中のレッドでもぜったい似合うのに、なぜか悪役のブラックだ。


よく分からない趣味だなとおもったけど、綿あめのときの恩があるので、わたしもとくに触れなかった。



ちなみに、焼きそばは買わなかった。



「みゃーこは焼きそば、すきじゃないの?」

「ふつうです、きらいでもないけど」

「ふうん、好きなのかとおもってた」

「どうして?言ったことないですよ」

「うーん、なんか、みゃーこって焼きそば好きそうな顔してる」



この会話によって、むしろちょっと嫌いになった。

だって、焼きそばが好きそうな顔って、ぜんぜんかわいくないんだもん。パスタならかわいいけど。おそばは、美人。