そして迎えた、夏休み最終日。花火大会の当日。
三好くんはお金持ちだし、なにより、親戚は有名なファッションデザイナーとブランドの経営者だ。
そこで、なんとわたしのために『Dear M』の浴衣セット一式を用意してくれた。高校生には手が届かないお値段のブランドなので、正直とってもはしゃいでる。
プレゼントしてくれるというのでありがたく受け取って、ママに着つけてもらった。
「誰といくの?」「え?!」「花火、だれといっしょなの」「ラ、ララランちゃん」「ふうん」と、挙動不審なせいで、完全に疑惑の視線を向けられたりした。
いつもポニーテールにしている髪を、ママに可愛く編み込んでもらって、うっすらお化粧なんかもしちゃって。
おめかしみゃーこは、待ち合わせした、花火大会が開催される最寄駅へと向かった。
汗をかかないように、ゆっくり歩く。慣れない和装は歩きにくいけど、それがなんともよいかんじ。
電車の窓に映るわたしはけっこうかわいくて、大満足だ。
三好くん、わたしに会ったら、かわいくてびっくりしちゃうかも。ちょっとでも、褒めてくれるといいなあ。
かわいいと、思ってくれるといいなあ。



