わたしが、彼の好きなところを話しているのを、三好くんご本人はくちびるをきつく結んで聞いていた。

もう、わかってる。これは、にやけてゆるむ頬を隠しているだけだ。



「みゃーこ、あしたの夕方、空いてる?」



何を言いたいのかすぐに察したけど、わざと、意地悪をしてみるのも、わたしの悪い癖。



「あー、いや、空いてないですね」

「、、え?!」

「花火大会の約束をしちゃったので」

「え、だれと、」

「三好くんと」



衝撃を受けた表情が一瞬で解けて、三好くんは屈み込んで「あーもう、ほんとばか」と上目遣いにこちらを睨んだ。

それがあまりにもかわいかったし、尊くてたまらないので、わたしはこっそり拝んでしまった。


すっくと立ち上がって、恥ずかしそうに耳を赤くした三好くんが不器用な誘いをもちかける。




「焼きそばごちそうしてあげるから、いっしょに花火大会にいきませんか?」




─────だから、わたし、そんなに焼きそば好きじゃないってば。