夏はおわりを迎えるけれど、まだ、ヒマワリは咲いている。わたしのメイド生活よりも、寿命が長くてうらやましい。
夏休みは、のこり2日。
宿題の問題集は、のこり2ページ。
お天気は、午後の2時から雨予報。
「みゃーこ」
星座占いは、1位だった。
ずっとずっとずーっと待っていた声が空気を震わせる。こんな呼び方をするのは、ただひとりだから、間違いない。
「三好くん!お怪我はだいじょうぶですか?」
「え、」
「ああ、これは嫌味です」
このわたしが、三好くんの声を聞き間違えるはずがないのだ。
小学生の頃にやらされた、夏休みの宿題史上もっとも面倒な1行日記。
それを記し忘れた空白の日々を埋める夏休みの最終日みたいに、会わずにいた数日間を、ふたりの会話で埋めていく。
わたしだけが、知っていたことだと思う。
三好くんが、とろけるようなあまい眼差しで、花壇のお花たちを見つめていること。
だれも気に留めない校庭の花壇でわざわざ立ち止まって、季節ごとに変わるお花を柔らかい微笑で楽しんでくれること。
そんな王子様、推したくなるに決まってるじゃん。



