かっこいい告白なんて、できるはずもない。
王子様になれなくて。
だけど、落ちていく彼女に無意識のまま手を伸ばして。
ぎゅ、と抱きしめた瞬間だけは、ちょっと、王子さまになれた気がしている。
このまましんでもいいや、と思った。
ものすごく近い距離に、腕のなかに、園田都が生きている。
ああ、ここでしんじゃったら、園田都が気にしちゃうかな。ていうか、やっぱり、しにたくない。
「確認なんだけど、」
「はい」
「おれ、生きてる?」
「…………おそらく」
けっきょく、ふたりとも生き延びたし、たいした怪我もしなかった。
じつは、一時的な入院は、頭を打ったことで脳に支障をきたしていないか検査するためだった。結果は問題なく、怪我も軽いものですんだ。
ここで終われば、夏休み前日の、ちょっとしたハプニングだった。初めて園田都と話せたし、まあ、怪我は負ったけど、プラマイゼロ。
でも、ここで終わりになんて、できないでしょ。
だって、夏はこれからだ。
園田都とこんなに近づけるチャンスはもう、こないかもしれない。
話しかけることもできずに、遠くから見られていることをしっかり意識しながら、また、距離をおいた関係に戻るだけ。



