そんなわけで、友だちと別れて、忘れ物を取りに戻った。水筒を体育館に置いてきてしまったのは本当のことなので、それを無事に回収してひと段落。
それにしても、夏は暑い。あつすぎる。
電車に乗るのが億劫になってしまったダメ人間の俺は、お迎えを電話で呼びつけた。軽く嫌味は言われたけど、きてくれるらしい。
お迎えが来るまで、だいぶ時間がかかるだろう。
涼しそうな図書室に目的地を定めて、向かっていると。
「うわ、」
花壇、いや、もはや畑と呼んでもよいくらいの広さいっぱいに、黄色いヒマワリが並んでいた。
空の青と、健康そうな深い黄色、それに囲まれた中心の茶色、しっかりした緑色の茎。
ひとつひとつの発色が、くっきりと濃厚。大切に育てられているのだろうな、と、お花に詳しくない俺でも分かった。
すると、スプリンクラーから、きらきらと水を撒く女の子を見つけた。ヒマワリの背丈に負けているし、あんまり派手じゃないから見つけにくい。
夏の学生服にポニーテール。どこにでも見かけるような出立ちだけど、顔はまあまあかわいくて、それから。
「っ、」
すべてのヒマワリを愛おしそうに見つめる、まるい瞳に心臓が壊れそうなほど高鳴った。



