彼女を見つけたのは、ちょうど去年の今頃。
高校1年生だった、夏休みのことだ。
「稀くん、なんか食べて帰ろうよ〜」
「そーそー、稀、いつもすぐに帰っちゃうんだもん」
それは、バスケ部の助っ人としてふらっと参加していた帰り道のこと。
校舎から出てきて校門まで辿りついたとき、俺は気づいてしまった。
「ごめん、俺、忘れものしたっぽい」
「まじ?まってるよ」
「いや、先行ってていいよ」
みんなと遊びに行くのが嫌いなわけではないけれど、なんとなく、窮屈な居心地をずっと抱えていた。
友だちの前で猫をかぶっているつもりはない。でも、すこしだけ見栄を張って、背伸びをしているような気はしている。
みんなが求めているじぶんでありたくて、そのためにがんばってみるけど、そうなると、さらに高いものが求められる。
俺の場合、顔が整っているのもお金持ちなのも、ただ、生まれてきただけだ。でも、その外面に見合うように、努力をしている。
それ自体は、あんまり苦じゃなかった。わりとなんでもできるし、褒められるのは好きだから。
だけど、そうやって、外側を整えていくうちに。
内側の俺に触れてくれるひとって、どこにもいないのでは?外側が剥がれたとき、俺のことなんて、だれも見つけてくれないのでは?
どうしようもなく、不安になる。
だから、友だちと遊ぶよりも、同じ歳の幼馴染でもある峰と、家で過ごすほうが楽でよかった。
俺は、まちがいなくインドアだ。社交性はあるけど、家にいるほうが断然すき。肌の白さから察したいただきたい。



