ふつう、人と人との絆は、目に見えない。
だからこそ、尊いのだ。
だけど、わたしたちの繋がりは、目に見える形で表されている。
その形は、おもっていたよりもずっと脆くて。
その瞬間は、いまだった。
三好くんが、おもむろに、右腕の包帯に手をかける。
「っ、うで」
「ん」
真っ白なそれがしゅるしゅると外されていくと、左手よりもやや細く見える腕が現れて。
久しぶりに見た右腕は、大きめの絆創膏だけが、ぺたりと貼られていた。
「俺ね、骨折、してないの」
「、、え?」
「ぜんぶ、嘘だよ。ごめんね、みゃーこの夏休みを貰うために、俺、ずっと嘘ついてたの」
自由に動く右手が、わたしのほうに伸びてくる。
ゆるり、やさしく頭が撫でられても、そのあまい温度さえ、わたしは信じられなくなっていた。
「でも、もう、おわりだね」
この日が、わたしのメイド生活の最終日となった。