三好くんの命令で、峰くんも含めたわたしたち3人で、だらだらと宿題を片付けていたある日のこと。



「園田って、彼氏つくらなくていいの?」



濃厚でおいしい深い黄色のオレンジジュースが注がれたグラスが3つ。それから、数学の問題集がたくさん置かれても、ずいぶんゆったりできる広さの机。


なんとなく、休憩のモードに入ったわたしに、同じくペンを置いた峰くんが質問してきた。


「なに、その質問」

「いや、つくらないの?ってきいたら、つくる暇ないでしょって返されるなあと思って」


たしかに、毎日このお屋敷に通っているせいで、今のところ、夏のイベントには参加できていない。

したがって、プールで泳いでいたら運命のひとがぷかぷか流れてくる、なんてこともない。


だけど、そこじゃなくて。


「わたしに彼氏がいないことを、大前提とされているのがむかつくんですけど」

「み、みゃ、みゃーこ、かれしいるの?!」

「い、いないけど!いないけど、いるかもしれないじゃん!」

「はあ?なに、哲学?」


途中で問題を解いていたはずの三好くんまで参戦してきて、なんだか複雑なことになってしまった。


慌てて弁解して、なぜだか大きな声で「園田都には彼氏がいません!」と宣言させられ。


ふたりにも、かのじょはいないと知り「イケメンなのにもったいないね」と言ったら、「余計なお世話だ」とごもっともな言葉を返された。