「ねえ、みゃーこ」


同じ呼びかけを繰り返しているのに、さっきまでとはちがう声色。

整った横顔を盗み見ると、じんわりと真剣な色が浮かんでいて、それが映画に対する姿勢だとは思えなくて。


「なん、ですか」


おそるおそる、きいてみる。

すると、三好くんは、やっぱりこちらを向かないまま、ため息みたいな言葉を吐いた。



「怪我が治ってもずっとそばにいるって、嘘でも言ってみろよ」

「え、と、」

「命令なら、言ってくれるの」



あまい毒を垂らすような、声だった。



「みよし、く、っ、」



ほんの、一瞬。


ふにゃりと柔らかいものが、くちびるにぶつかって。

ゼロの距離で、目と目が合って。


伏せられた長い睫毛の奥にあるきれいな瞳に、静かな熱がこめられていて。