きょうは何度も彼と遭遇するな?と思いながら「峰くんもおつかれさま」と返す。
それからすぐに向かう先が同じだと気づき、「これ、デジャヴ?」とたずねると、峰くんが笑った。
「ほんとに、稀さまと仲良いんだね」
「ええ、そう見える〜?」
「園田、にやにやしすぎ」
「だってわたし、ほんとに三好くんだいすきなんだもん」
三好くんの部屋までの道のりを、ふたり並んで歩く。
何億円の花瓶も、等間隔に立て掛けられた絵画も、もうすっかり見慣れてしまった。いまだに価値は分からないけど。
峰くんは生まれながらの人気者気質、話し上手の聞き上手なので、会話も途切れることがない。
「ずいぶんと、仲が良さそうなことで」
ゆるゆるとお喋りしながら扉を開けたわたしたちに、ひとり、部屋でくつろいでいた王子様がこちらに顔も向けないまま、嫌味っぽく言う。



