前日の土砂降りなど、すっかり忘れたかのように。
高く広がる青空は、雲ひとつ見当たらなくて、お日様が直接的に光をまっすぐ届けている。
心配していたけど、お花たちも元気そうだった。
日光をたっぷり浴びた8月のヒマワリは、背が高くて色が濃くて、健康的に育っている。
またも三好くんの代わりに、運動部の助っ人で登校していた峰くんに遭遇して、彼がお迎えに来てもらう三好の車に、わたしも乗せてもらえることになった。
そうして、ふたりでお喋りしながら帰宅すると。
「反省してねえのかよ」
病院の検査から先に帰ってきていた三好くんが、おそろしく不機嫌そうに、豪華なふかふかソファで足を組んでいた。
反省ってなんだっけ?と首を傾げるわたしに、峰くんはぐるりと黒目を回して面倒臭そうにため息を吐く。
それから、謝ることもなく、「着替えてきます」と自分の部屋のほうに歩いていってしまった。どうやら峰くんは、三好邸に住んでいるらしい。
「みゃーこ」
「わ、わたしも着替えます」
「だめ、こっちに来て」
わたしを呼びつける彼のひんやりした眼差しを見つけて、きのうの帰り、三好くんが怒っていたことを思い出す。
空と同じく、わたしも、きのうの夕方のことなんて、ほとんど忘れてしまっていた。



