「峰くんって、サッカー得意なの?」
「んー、俺はなんでも得意だよ」
「うわ、そういうこと言うひとって友だちなくすよ」
「それがね、なんと、俺は友だちも多いの」
「げ、三好くんが峰くんのこと〝性格わるい〟っていうの、ようやく分かってきた気がする」
意味なんて、ほとんどない。BGMをつくるような感覚で、会話が編み込まれていく。
「じゃあ、園田のこと、俺にもおしえて?知りたい」
「でた、人たらし!」
「ふふ、園田って、同じクラスなのにあんまり話す機会なかったじゃん?こんな子だと思わなかったわ」
外は、まだ、雨が降っている。
完全に雨がやむのと、完全に日が暮れるのと、どっちが早いだろう。順序によっては、虹が見えそうだ。
「どんな子だとおもってた?」
「お花に水遣りしてるから、かわいくて優しい子」
「なにそれ、いまは?」
「へんじん。でも、稀さまが心開いてるのはすげえよ、俺以上の人たらしじゃない?」
まれさま、という単語が耳に届くと、いっきに意識が現実に引き戻された。
その途端、会話がただのBGMではなくなって、気のせいか、雨も弱まってきたようだ。
「三好くんって、わたしに、心開いてる?!」
「だいぶ、そう見えるよ」
「えええ!うれしいから、その話もっとしよ」
確実なのは、わたしが、峰くんにだいぶ心を開いていることだ。



