さぞかし刺激的なことだろうと思われた夏休みだけど、けっきょくのところ、慣れてしまえば繰り返しの日々だ。
朝から学校に行って、ヒマワリに水をあげて、たまに、運動部の助っ人をしている爽やか峰くんと挨拶して。
運が良ければ、久しぶりにランちゃんとも会えた。ランちゃんは夏休み中にバイトで知り合った男の子と付き合うことになったらしく、あまりわたしにかまってくれない。
すべてのお花たちの手入れを終えたら、電車に乗って三好邸に向かう。わたしの利用する路線とは別の電車に乗るのだけど、それも3回目でもう慣れた。
三好邸に着いたら、メイド服に着替えて、三好くんのメイドもどきをする。業務内容は、三好くんの命令をきくこと。
それにしても、わたしって順応能力が高すぎる。さすが恒温動物。ま、それは関係ないか。
そんなわたしが唯一、まだ慣れていないことといえば。
「みゃーこ、おて」
わたしに向かって左の手のひらを差し出してくる、三好くんのうつくしさ。これに限る。
美人は3日で慣れると聞くけど、こればっかりはちっとも慣れそうにない。
正しく配置された顔のパーツは、どれもきちんと整っていて、完成された王子様の顔立ちをつくっている。
本日も三好くんが尊くて、たいへんありがたいです。なむなむ。