「じゃあ、まずは俺にお茶を飲ませなさい」

「仰せのままに」

「そこにある、はちみつジャムを入れろ」

「仰せのままに」



まるい氷が高い音を鳴らすグラスに、黄金色のハーブティーを注ぐ。そこに、金色の蜂蜜を加えて、ストローで掻き混ぜた。

日光に透けて、とってもきれいだ。涼しげな音と色と香りがする。


グラスを持ち上げて、ストローを三好くんの口もとに運ぶ。餌をあげるような感覚でやってみると、彼は雛鳥のように、ちう、とストローに吸いついた。


、、、、、、か、かわいい。


わたしの差し出したストローに、素直にくちづけてくれる整った横顔は、なんていうかもう、尊い。

めちゃくちゃ拝み倒したいけど手が塞がっているので、ああ、とりあえず、心のシャッターを連写しておく。この映像はぜったいに忘れたくないし、寝る前に思い出したい。



ひとくち飲んだ三好くんに、「オマエも飲め」と命令されたので、もうひとつのグラスに同じようにハーブティーを注いだ。


いただきます、とひとこと添えて飲んだ黄金色は、フルーツの香りが広がって、とんでもなく美味しい。

思っていたよりも喉が渇いていたみたいで、いっきにごくごく飲み干してしまった。


初めていただく高級なおのみものに夢中になっていたわたしの傍ら。



「峰、部屋から出ていって」

「いやです」

「は?」

「何かあったら、すぐに駆けつける場所にいたいので」

「うちの使用人、俺に従うやついないわけ」



ご主人様と執事の、親しみのあるリズム良い掛け合いがなされていた。



「稀さまと園田をふたりっきりにするのは、なんだか危険な気がします」

「俺のこと、理性ゼロのライオンだと思ってる?」

「盛りのついた猿にはならないでほしいので」



やっぱり謎の関係性だな、とふたりの会話を聞き流しながら、わたしは極上のハーブティーを楽しんだ。