三好くんの仰せのままに



すると、峰くんがグラウンドの中心から大声で名前が叫ばれて、彼がしっかり部活の最中であったことを思い出した。

そして、彼と同族の人たちがサッカー部員らしい。



「んじゃ、呼ばれたから俺行くわ!邪魔してごめんね、でも、園田にもヒマワリにも怪我がなくてよかった!」



そう告げて立ち去っていく眩しい後ろ姿に、なるほど、峰くんの前世はヒマワリだったのかと本気で考えてしまった。



それから、同じように夏の花々がそれぞれ咲いたり咲かなかったりする花壇に水を撒いていく作業。

冷水を振り撒いているとはいえ、炎天下のなか立っているのは30分が限界だ。


今日はここまで!
汗だくで三好くんに会いたくないし!


そんなわけで、わたしはさくっと園芸部員の活動を切り上げ、運動部の皆様のえいおーえいおーという掛け声を聞きながら学校をあとにした。




三好くんの家は、学校から決して近くない。

がんがんに冷やされた電車のなかで、じぶんの汗がひくのを待った。地下鉄の窓に映るじぶんの髪型がいつもよりちょっとかわいいから、満足した。



三好邸の最寄駅からは、スマホアプリのナビを利用することにした。なるほど、ここからあと10分歩くらしい。


時刻は10時30分。さすがに三好くんも起きてるだろうか。起こしてあげたかったな、メイドっぽいし。


なるべく日陰を選んで、急がずに歩く。


学校を出たのが10時頃だったから、三好邸までは45分くらいかかる計算だ。

これからのシミュレーションをしたり、こないだの三好くんの匂いを思い出したりしていたから、体感だと10分くらいだけど。