ところで、メイドってなんだ?



「わたしが、三好くんをお世話するってことですか?」



柔らかそうに潤うくちびるをつんと尖らせて、彼が頷く。すべての瞬間がシャッターチャンスなの、どういうこと?



「それは、たとえば、おかえりなさいませご主人様したり、萌え萌えきゅんしたり、オムライスにハートはどうします?あ、子守唄はいらないですもんね?」

「あのね、赤ちゃんになろうとしてるわけじゃないから。右腕が使えないぶんの不便をオマエが補えって話」

「さすが三好くん!要約も完ぺきですね」

「オマエがへたなの」


三好くんの右腕のかわりになれるなんて、わたし、前世で徳を積みすぎちゃったのかもしれない。


これって、怪我の功名?使い方まちがってるかな。

ていうか、ギプスって暑そう。この病室はひんやりと肌寒くて、夏ってことを忘れちゃう。

ただし、明日から夏休みっていうのだけは、浮かれまくる要因である。鞄にしまった成績表だけが、なんだか妙に重たいかんじ。


三好くんは、ぜったいに成績も素晴らしい。三好稀という名前の時点で百点あげちゃいたいもんね。

もし、早退のために受け取れていなかったら、かわりに貰ってきてあげるのもメイドの仕事かしら。

わたし、三好くんのためならなんでもするし!!!