みーんみーんみーんみーん。
ここぞとばかりに鳴いてくる蝉が、遠くに聞こえる。
わたしは、清潔そうな白いベッドで上体を起こしている三好くんに、ピントを合わせて。
「おい」
かしゃり。
不機嫌そうにこちらを睨むその表情を、しっかり写真に収めておくことに成功した。
お腹の位置あたりにスマホを構えて、しれっと隠し撮りしたのだけど、あっさりばれたらしく「カメラは無音のアプリを使えよ」と怒られた。
いや、怒るところ、そこなの?かわいいです。
「消してよ」
「それは無理です」
「なんでもします、じゃないのかよ」
「あはは」
「テキトーに流すな!俺が面倒な男みたいじゃん!」
こんな、子どもみたいに怒ってるだけでも珍しいのに、場所は病室。しかもギプス。見たことない三好くんのオンパレードなので、ほんと、拝むのはやめられない。