三好くんの仰せのままに



「オマエが落ちるのに俺を巻き込んだせいで、」

「巻き込んだ?むしろ、自ら抱きしめてくれ……」

「だまれ!ちがう!おれは、ストーカー女に巻き込まれたんだ!」

「まあ、はい、すいませんでした」



三好くんって、こんな子どもっぽいひとだったの?

こうなってくると、いよいよ、わたしを庇ってくれたことが、都合の良すぎる夢だったかのように思えてくる。



「しかも、そのせいで、1か月は安静にしなきゃならないわけ」

「あ、ちょうど夏休みでよかったですね」

「はあ?」

「すいませんでした」



まあ、白いギプスが、現実だって証拠だけど。

それにしても、怪我まで似合うよ、さすが三好くん。くやしいけど、不機嫌マックスでもかっこいいし。

生きていてくれてありがとうございます、まじ、ジーザス。



「オマエのせいで、俺は大事な高2の夏休みを棒に振ったわけ。おわかり?」

「わたしが言うのは失礼かもしれないけど、夏休みなんて来年もくるし、冬休みもあるじゃないですか」

「ばかだな、高2の夏はいちどきりなんだよ」