セカンド・ファーストラブ

「――よし、これでどう?」

「わ、すごい。本当に美容師さんみたい」

「まあまだアシスタントだけどね」


そう言って木崎くんは首を少し傾けて笑うけれど、木崎くんにセットしてもらったふわふわの髪は文句なしのできあがり。なにより木崎くんにしてもらったということが幸せすぎて一生このセットが崩れなければいいのに、って馬鹿みたいなことを思った。

真崎さんの確認もオッケーで、そしてお会計もスムーズに淡々と終わってしまった。

もう木崎くんと別れなきゃいけないんだ。気持ちを再び自覚した途端センチメンタルな気分になってしまう。


―――あの頃と同じまま、何もなかったかのように終わるのは嫌だ。


不意にそう思って、トレンチコートを着せてくれようとした木崎くんの服の裾を掴んだ。



「どうしたの?」

「ねえ、またここ来るからその時はまた私のセットは木崎くんがしてくれる?」


年月は経っても根の部分は変わらないから、私には頑張ってもこれが精一杯。とりあえずまた会える確証がほしかった。



「何言ってんの。当たり前にするよ」

「ほんと?」

「うん。でも今日は特別にかわいくしてあげたけど、今度は男と会う予定があんならかわいくはしてあげられないかも?」

「…なにそれ?」

「今はわかんなくていいよ」


思わせぶりな木崎くんの言葉に私だけが翻弄されてる。名残惜しくも思いながらも、木崎くんに見送られながらお店を後にした。