そして次に走るうちのクラスの人は誰かと思い、待機している人の方を見ると、梓がスタートラインに立っていた。


 パァン!

 開始の合図が鳴る。


 梓はお題の入った箱を持っている人のところまで走っていき、それを引いた。


 折り畳まれた小さな紙を開き、凝視している。

 そして数秒後、また全力で走りだした――なぜかゴールに向かって。


「おおーっと、一国をも揺るがす色男がいきなりゴールを目掛けて走っているぞオオォ! どうしたどうしたァ! 借りることを忘れてしまっているのかアァァ」


 梓はゴールテープの横をすり抜けてこちらにやってくる。


「永瀬」


 どうやらまたお題に当てはまってしまったらしい。