「体育祭の役割分担をどうするか、そろそろ決めておかないとだね」

 放送室に部員が集まり、各々の基礎練習が終わった頃、2年生の先輩がそう切り出した。


「3年の先輩らが何の種目に出るかにもよるだろ」

 別の先輩がそう返す。

「部長はクラス対抗リレーでしょ」

「えっ」

 先輩の言葉を聞き、思わず瞠目して声が出た。


「あはは、去年の私たちもそんな反応した」

 2年生の先輩が手を叩いて笑っている。

「部長、足速いんですね」

「速い速い。なんで運動部じゃないのか意味がわからなくなるくらいには」


 それから先輩に決め方について教えてもらった。

 基本的には自分が出る競技の前後を避けて、可能な限り自分と違う学年の競技のアナウンスを担当することになるらしい。


「あの、明日にでも3年の先輩方のクラスへ聞きに行ってきます」

「おー、ありがとう」


 2年生の先輩の出場競技のメモを取ってから、常盤君に近づいた。

「常盤君は何に出るんだっけ」

「200メートル走と、借り人競争と玉入れ」

「常盤君、借り人競争に出るんだ」


 人気だったので決まってよかったねという気持ちと、常盤君もそういうのは苦手だと思っていたので驚きの気持ちがある。


「そう。ただでさえ暑いのに、二人三脚で人とくっついたりしたくないし。じゃんけんで勝ててよかった」

 なるほど。そういう理由だったか。