そうこう悩んでいるうちにも、日々は過ぎていく。


 結局何も決まらないまま1週間が経ち、今週のロングホームルームでは体育祭での出場種目を決めることになった。

 秋はイベントラッシュだ。


 体育祭実行委員の手によって、黒板に様々な種目名が記されていく。


 徒競走は嫌だなあ。

 そう思いながら黒板を見ていると、委員の人がチョークを置いた。


「この中から3種目を選んで出場してもらうことになります。リレーに出ない人は、100メートル走か200メートル走のいずれかに必ず出場してください」

 走る競技から逃れることはできないようだ。
 ちょっと憂鬱だな。


「まずはクラス対抗リレーから。これは先生から預かった50メートル走の記録を見て、タイムが速かった順で決めさせてもらいます」

 男子2人と女子2人が選ばれるらしい。

 順番に名前が挙がる。

「そして、男子のもう1人は寺元君にお願いします」

 わ、梓だ。やっぱり足が速いんだ。


 中学のときもリレーでアンカーを任されていたことを思い出す。

 足の速い人が走っているのを眺めるのは、清々しい気分になれるから好きだ。また見れるの、楽しみだな。


 その次に色別対抗リレーを走ることになる、男女1名ずつの名前が呼ばれた。

 そして私はもちろん100メートル走に出ることになった。