久しぶりの部活へ向かっていると、廊下で顧問の先生に呼び止められた。


「永瀬さん、今度は11月に新人大会があるのだけれど、出る?」

 また大会があるんだ!

「はい! 出たいです」

「そっか、よかった。申し込んでおくわね」

「ありがとうございます」


 今度こそ、結果を残したいなあ。


「はい。これ要項ね」

 先生から手渡されたそれを受け取ってすぐに中身を確認する。

 朗読部門の指定作品のうち、1作品は既に読んだことがあるものだった。


 うーん。この作品にしようかな。

 他の作品も読んでみてから判断した方がいいのだろうか。


「あと、2年生と常盤君にも出るかどうか、聞いておいてくれるかしら? 私は今から会議があって」

 先生が腕時計を見ながら言った。

「わかりました」

「よろしくお願いね」

 先生はそう言いながらそそくさと去っていく。


 新人大会ってことは、3年生である部長と田中先輩は出ないんだよね……。心細いな。