そのまま夏のフェアをやっているコーナーを眺めていると、会計を終えた常盤君が戻ってくる。


「ソフトクリームの割引券あるんだけどさ。1枚で2つまで頼めるらしいんだけど、行く?」

「行く!」

 即答した。

 棚からぼた餅ってやつだ。ぼた餅じゃなくてソフトクリームだけど。


 そのソフトクリーム屋さんはフードコート内にあり、買う前にまず席を確保することになった。


「結衣子?」

 財布とスマホを取り出してほぼ空になったカバンを椅子に置いた瞬間、名前を呼ばれたのでそちらを見ると、なんと凛ちゃんがいた。


「わ! 凛ちゃん、久しぶり」

「やっぱり結衣子だー! 久しぶり」

 笑顔を向けてくれる凛ちゃんの後ろには、お母さんらしき人と妹さんらしき人が見える。


「ご家族?」

「うん。ママと妹」

 ご家族の方にいつもお世話になっております、と挨拶を済ませると、お昼を食べに来たようで少し離れた空いている席へ向かわれた。


「さっき偶然常盤君と本屋で会ってさ。まさか凛ちゃんにも会えるとは思わなかった」

「そうだったんだ。また私とも遊ぼうね」

 凛ちゃんはそう告げると、ご家族のあとを追って去っていく。