沈黙が訪れる。 先に口を開いたのは私だ。 「そういえば、さっき何か言いかけた?」 梓は困ったような顔をしている。 「ううん。何でもない」 「そっか」 視線を花火に戻す。 花火の大きな音から肌にビリビリと伝わってくる振動は、私の心臓が生み出す脈動には敵わないのに。 最後まで目を逸らすことなく、矢継ぎ早に打ち上がっていく花火を見つめていた。