最後のテスト科目が終了し、あちこちから解放されたことによる歓喜の雄叫びが聞こえてくる中、担任の先生が配布物をたくさん配っている。

 その中に、大学のオープンキャンパスの案内も混ざっていて、目を惹いた。

 夏休み中にあるんだ。


「気になるの?」

 梓がこちらに身体を向けながら尋ねてくる。


「あ、うん。どういう感じなのかなーって思って」

「ふーん。一緒に行く?」

「え」

 まさか誘われるとは思ってもみなくて、返事に窮してしまう。

 今までこういったことはなかったから。


「俺も興味あるし」


 2人で、ということだろうか。それとも他の人たちも一緒なのかな。

 どっちにしろ1人だと心細いし、ありがたい話である。


「うん。じゃあ行こう、一緒に」

 思い切ってそう告げると、目の前を男子が横切った。


「梓ー。どうだった? 今回難しかったくね?」

 よく梓と一緒にいるのを見かける人だ。


「また話そう」

 梓はそう言って友達と話し始めた。


 今、友達にこのことを言わないってことは、2人なのかも。

 そう考えて、頬をゆるませてしまう自分がいた。