隣の圏外さん



「梓は、何か用があったんじゃないの?」

 心配になって梓の顔を覗き込む。


「ちょうど、今から向かう場所で勉強しに行くつもりだった。俺、家だとあまり集中できないタイプだからさ」


 そうなんだ。

 じゃあ、甘えていいのかな。


 持ってきた手土産は、明日学校で倫太郎君に渡そう。

 そして、急に予定を変更してしまったことを謝ろう。

 そのように考えながら、梓と道を歩く。


 着いた先は、青少年センターだった。


「ここで自習できるの?」

 横にいる梓を見上げて尋ねる。


「うん。空いている部屋が自習室として開放されている」

「そうなんだ。知らなかった」

 こういう公共の施設があったなんて。