次の部活動の日、倫太郎君に数学を教えてもらおうと、張り切って部室に入る。


 しかし、基礎練習を終えた後は、いつものように自由時間を過ごすのではなく、先輩方の朗読練習会が始まった。

 後輩が賞をとってきたことで、先輩方も火がついたらしい。


 大会前みたいな雰囲気だけど、これが本来の、あるべき部活動の形だ。


 皆が順番に朗読し、それに対して意見を言い合い、そしてまた熱心に練習する。


 こんな日がくるとは思っていなかったな。

 ちょっぴり感動してしまうけれど、倫太郎君に数学を教えてもらう時間はなかった。