そのままお菓子をいただきながらだらだらしていると、下校時間を知らせるチャイムの音が鳴った。
片付けを終えて教室を出るとき、ふと期末試験の存在を思い出し、倫太郎君に尋ねてみる。
「倫太郎君って、最近の数学の授業についていけてる……?」
「え、うん」
当たり前だという調子で返された。
ああ、もしかして他の皆は大丈夫なのかも。
私だけなんだ。
「永瀬さん、やばそうなの?」
私の表情を見て、察したらしい。
倫太郎君の問いに頷いた。
「俺のわかるところなら、次の部活のときにでも教えるよ」
願ってもない話だ。
頼んでも面倒だと断られそうなのに、まさか倫太郎君からそう言ってくれるなんて。
部活の時間内だからだろうか。
「ありがとう! お願いします」
その提案に、私は迷わず飛びついた。



