会話しながら歩いていると、すぐに会場に着いた。


 先生が受付を済ませ、その後の開会式が終わると程なくして審査が始まった。


 私より倫太郎君の番が先だったのだが、彼の様子に不安を覚える。

 離れて見ていてもわかるくらい、原稿を持つ手が震えているのだ。


 でも、倫太郎君の朗読が始まったら、その不安感は弱まった。

 手は震えていても、原稿を読み上げる声はしっかりしている。


 それに、練習のときと変わらないどころか、より上手くなっている気がする。


 固唾を呑んで最後まで見届ければ、今度は私の番だ。