ああ、醜い脚を出すなって話だろうか。

 恥ずかしい。


 頭を抱えていると、凛ちゃんがにやけ顔をして、肘でつついてきた。

 凛ちゃんのその態度に、どうしたのかなと思っていると、先生による開始の言葉が放送された。

 それを合図にして受付の席に着く。


 まず最初に、若い男女のお客さんがいらっしゃった。


 ふたりは手を繋いでいるので、恋人同士なのかな、と思った。

 女性の方が髪を染めているようだから、大学生かな。

 男性の方は黒髪で爽やかな印象だ。


「すみませーん、常盤倫太郎っていますか」

 そのカップルの女性の方に声をかけられる。


「あ、はい。少々お待ちください。常盤君ー」

 控え室の方に向かって呼びかけると、常盤君が布をかき分けて出てきた。


 控え室の出入口には、ロッカーと黒板の間に突っ張り棒をつけて、カーテンを作ってあるのだ。