先生の放送を合図に、文化祭が始まった。


 どうやら脱出ゲームは他のクラスの人たちの興味を引けたようで、ひっきりなしにお客さんが流れてくる。


 控え室で佇んでいると、今日の受付担当の子が顔を覗かせた。


「順番に並んでもらっているけど、長蛇の列になっているから時間を区切って予約制にしようってなって」

 思った以上の反響だ。

 どうやら常盤君が考えた制限時間に合わせて、急いで予約表を作っているらしい。


 受付担当の子は話を続ける。

「今日は代表者のクラスと名前を書いてもらっているけど、明日のために券を作ってもらっていい?」

「はーい!」

 返事をして、作業に取りかかる。


 明日は土曜日で、生徒以外に外部からのお客さんも来る日だから、名前が被ってしまう可能性を考えてのことだろう。


 今日は用意した物が壊れない限り、もう何もすることがないと思っていたけど、案外忙しい。